- 2012
04
23 ソーシャルメディア公式アカウントは何のためにあるのか
- カテゴリ
NYCのカンファレンスレポートもいよいよこれで終わりです。たぶん。
今回のカンファレンスの中で最もエキサイティングだったセッション、Gap Incのソーシャルメディア戦略です。では、どうぞSocial media basically democratize who can look cool or who not自分のことを「イケテル!」と宣言するのはイケテナイ。ソーシャルメディアの登場で大きく変わったのはそこだ!と語ったのはデジタルメディアディレクターのKwonさん。リズム感のあるプレゼンにほれぼれ。なんて素敵な発声でしょう。あなたが買うべき場所はここだ、と古典的な一方向性の広告では語っていた。しかし、ソーシャルメディアではかっこいいと語ってもらうことが重要だ。「 誰がカッコいいのかを押し付けられる社会は終わった。ソーシャルメディアの登場で」【カッコいい】を正しい、正義、素敵、まじめ、に置換えてもいい。ソーシャルメディアは大衆の意志決定を民主化したのだ。※このブログエントリは3月初旬にニューヨークで行われた"Reputation Preservation & Crisis Communication USA 2012"に出席した時のレポートです。
Gapのソーシャルメディア戦略は、ブランド毎にもツール別にも役割分担が明確だ。持ち株会社のGap Inc.、ブランドとしてのGap,BANANA REPUBLIC,OLD NAVY,ATHLETA,PIPERLIMEのすべてが公式のブログを持ち、Twitter,Facebook,YouTubeを活用している。詳細は省略するがそれぞれのブランドでターゲットを明確にし、その結果テーマも絞り込まれた運営が可能になっている。ソーシャルメディアのツールの使い分けはすべてのブランドに共通して以下のようになっている。Facebook・スタッフと顧客のコミュニケーション促進・オンライン上での存在感を高める・ソーシャル上で語られるためのきっかけ作り・独占的なコンテンツの配信を行うTwitter・顧客とリアルタイムで会話する・コンテンツをシェアする・質問に答える・Facebook,ブログ,YouTubeなどへの誘導としてYouTube・検索結果の改善のため補足すると、検索結果画面のイメージを自然な形でクールにすることやオフィシャルアカウントの出現率を高めることなどがあると想像。ちなみに、動画コンテンツは配信から平均で18ヶ月間も消費され続けるのだそうだ。他のソーシャルメディアと比較するとコンテンツの寿命がダントツで長い。ブログ・会話を促すポストでReputationを高める・例えば、プレスリリースのような味気ないニュースも馴染みやすく・経営層からのメッセージ、コーポレートカルチャーの紹介・検索結果改善のため。検索結果にポジティブな記事の表示を増やすGapのソーシャルメディアでの失敗の例として記憶に新しいのは、新ロゴの変更に伴うブーイングの嵐だ。ロゴの騒動が起きる直前に配布されたのが以前も紹介したソーシャルメディアガイドラインだ(Gap Inc.のソーシャルメディアガイドライン)。新ロゴの発表から僅か一週間足らずで、なじみ深い元のロゴに戻したのはあまりの不評が原因だが、Gapとしては犯罪をおかしたわけでもないので謝罪することもしなかった。ロゴは自分たちのためではなく、顧客のためにあるもので、彼らが気に食わないものを使い続ける必要はないのだから、とあっさりと語った。当時、多くのメディアで大失態として語られた記憶がある。強がりもあるのかもしれないが、当事者は意外と淡々としていたのかもしれない。Show what's behind the sceneどんな新商品が出たのか、だけでは十分ではない。デザイナーがなぜその素材を選んだのか、そもそもデザイナーはどんな人か、その商品を買っている人はどんな人なのかなど、消費者は背景やストーリーを知りたがっている。原価に利益を乗せて販売するのは商売の基本だ。商品にどれだけ魅力的なストーリーを乗せられるのか。ストーリーがなければ、利益を削って競合と戦うより選択肢はない。誰が、Gapの魅力を他に伝えてくれるのか。エバンジェリスト。それってどんな人?「一緒にこの会社で働きたいと思っている人」ソーシャルメディアの公式アカウントを開設するときに、ターゲットの設定をする。年齢、男女や趣味や特定の購買パターンなど角度を変えて検討することも多いだろうと思う。だが、シンプルにこう考えてみてはどうだろう。「その人のマーケティング上の属性はよくわからない。でも、この会社で働いてみたいって思ってもらえるような運営をしよう。」Analyticsやインサイトの分析以前にやらばければならないことが山積みだ。なんてね
- Hitoshi Eiga栄花 均
ソーシャルメディア・ストラテジスト、なんて名乗ったりしているが海外単身赴任生活の孤独を埋めてくれたFacebookへの思い入れがひと際強い。
ソーシャルメディアを考えるのは人生を考えること。人生を考えるのは、自分の周りの人を考えること。その人たちと何をするのかが人生。海外の最新情報や、事例の紹介、費用対効果、マーケティング情報は他に任せる。ソーシャルメディアを思考するブログ。それがこのブログです。
- 2012